#88 6枚目だって買えないゲーム
デッキを作りこむ二人戦のジレンマ
以前に書いた、こちらの記事は読んでいただけましたでしょうか。
二人戦で7枚目の属州を買ったとき、それによって点差が6点未満であれば、次に相手が属州を買うと逆転負けされるため、たとえ8金出ていたとしても買えない(あるいは「買いづらい」)というものです。
さて、これは相手が次のターンで属州を買えるだろうと想定されるから起こるものですが、既に何度か紹介したように、1ターンに属州を2枚も3枚も獲得するようなデッキが組めるゲームも存在します(#4とか#52とか)。
もし相手が次のターンに属州2枚獲得するのなら、サプライの属州を残り2枚にして相手にターンを渡したとき、12点以上のリードがなければ負けてしまいます。つまり7枚目でなく、6枚目の属州だって買ってはいけないということで。
属州2枚ずつ買うのが当たり前のゲームで
たとえば両者とも、引き切って毎ターン16金2購入を出すことができるようなデッキを10ターンかけて構築させることに成功したとしましょう。第11ターンから属州を買いだします。
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 屋敷 | ||||
後手 | 属州×2 |
互いに第11ターンは属州を2枚買って並んだものの、続く第12ターンで先手が事故を起こし、屋敷1枚だけしか買えなかったとします。
一見すると後手にとっては大チャンスのようですが、これが困ったことにまったくチャンスではないんですよね。
もしも後手がここで属州2枚を買うと・・
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 屋敷 | ||||
後手 | 属州×2 | 属州×2 |
続く第13ターンの表で、先手が属州2枚を買えばゲームセット。先手の1点勝ちです。
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 屋敷 | 属州×2 | |||
後手 | 属州×2 | 属州×2 | - |
なんだか納得いきませんが、とにかく6枚目の属州が買えないんだからしょうがない、ということで第12ターンの裏、後手の購入は属州と公領としておくと・・
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 屋敷 | ||||
後手 | 属州×2 | 属州+公領 |
こんどは逆に、先手側に「6枚目の属州を買わせる」リスクを押し付けることになります。これを避け、公領2枚を買ったりすると・・
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 屋敷 | 公領×2 | |||
後手 | 属州×2 | 属州+公領 |
さらに今度は後手にリスクが回ってくることに。以降は公領が枯れるか、どちらかが事故を起こすまで「にらみ合い」が続くことになります。
さらに読み合いはハイレベルに
こういったゲームで勝敗を分けるのは、相手より改築を1枚多く持っている分だけ空廃棄(属州を属州に変える)によって属州3枚を獲得できるとか、相手は16金2購入なのに対し自分は16金3購入まで出せる(にらみ合いになってから公領3枚買える)など、自分にできて相手にできないことがあるかどうかです。あればその分だけ有利が取れ、後手でもなんとか勝つことができるでしょう。
と、いうことは。
たとえばまったく同じデッキを持つ二人の対戦で、ここまで進んだとして。
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | |||||
後手 | 属州×2 |
続く第12ターン、先手は16金2購入が出せて、属州2枚を買うことができるものの、どうせ相手もできるだろうし、そうなると引き分けになっちゃうな、と思ったら。その「相手にない何か」を買ってみましょう。例えば空廃棄のための改築を。
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 属州+改築 | ||||
後手 | 属州×2 |
続く後手のターン。16金2購入は出せるものの、属州は5枚買われているため、もう属州は1枚も買えません。仕方なく公領を2枚買うと・・
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 属州+改築 | ||||
後手 | 属州×2 | 公領×2 |
第13ターンの表で、先手が16金2購入を出しつつ、手札の属州1枚を空廃棄すれば、残りの属州3枚すべてを獲得し、ゲームは終わります。
ターン |
・・・ |
11 | 12 | 13 | 14 |
・・・ |
先手 | 属州×2 | 属州+改築 |
属州×2 (+属州空廃棄) |
|||
後手 | 属州×2 | 公領×2 |
第12ターンの表で「勝つ権利」である改築を買ったことが、先手にとっての勝因となったわけです。