#15 地下書庫での細かい話 その1 ドロー枚数調整
何を捨てる?
突然ですが、この手札を見てください。
手札:
ここから地下貯蔵庫を打つとき、あなたならどのカードを捨てますか。
そもそも地下書庫とは
#4 これが噂の古本市よりも先に書いておくべきだったな、と今さら思っております。
地下貯蔵庫と書庫を1枚あるいは数枚ずつ入れてデッキを回転させること、を「地下書庫」と呼ぶそうです。初出はまたもあの「ドミニオンレシピ」。
あちらでは本当に地下貯蔵庫と書庫以外のアクションカードは不要としてありますが、お好みでアレンジしてもかまいません。
ではちょっと回してみましょう。
手札:
山札:
地下貯蔵庫で、手札4枚すべてを捨て、4ドローする
手札:+
山札:
地下貯蔵庫で、屋敷1枚を捨て、1ドローする
手札:+
山札:
書庫で、手札が7枚になるまでドローする。
このとき山札から引いた書庫や地下貯蔵庫は脇に置き、ドロー完了後に捨てる。
手札:+
山札:(なし)
このように、地下貯蔵庫2枚と書庫1枚だけで山札の最後までドローすることができました。
上のような順番でなくとも、地下貯蔵庫を多めに入れて適当にシャッフルし、そこから5枚の手札を引いて実際に回してみてください。書庫を引くまでチェンジ→引けたら打って手札回復、とするだけで割と簡単に8金出ることがわかるでしょう。
地下貯蔵庫を使うたびに手札が5枚→4枚→3枚・・と1枚ずつ減っていきますが、その後の書庫で7枚まで回復するため問題ありません。
なお、上の例で2枚の地下貯蔵庫を打っていますが、それぞれの役割は異なっていることに気付くでしょうか。
1枚目の地下貯蔵庫は書庫を引くことを目的とした最大ドローのための4枚チェンジをしていますが、見事引けて、書庫が打てることが確定したあとの2枚目の地下貯蔵庫では弱いカードだけチェンジしたいため屋敷1枚だけを捨てています。
何を何枚捨てる?
地下書庫における地下貯蔵庫で、手札を何枚捨てるべきか・どのカードを捨てるべきか、についてはその状況次第で変わってくるのですが、おおむね「弱いカードは全部捨て、強いカードを引いてくることに期待する」という思考でかまいません。かまわないんですが。
地下書庫に慣れてきたら、もう少しだけ、よりうまく回せるようになってみませんか。
というわけで、ようやく本題です。
今回は残り山札が少なく、それらが強いときのドローについて。
手札:
山札:
例えばこんな状況。そもそも地下書庫にしてはアクションカードが少なすぎる気もしますが、話を簡単にするために目をつぶってください。
このターン、地下貯蔵庫も書庫も引けなかったので、仕方なく何かを買います。ここでは銀貨としてみましょう(※)。
手札:
山札:
捨札:
さて次のターン、手札に地下貯蔵庫と書庫が来ました。
まずは地下貯蔵庫をプレイするわけですが、ここで先ほどの「弱いカードを捨てて~」の方針に則り、屋敷2枚と銅貨1枚を捨てると、どうなるでしょうか。
手札:
山札:
捨札:+
3枚捨てた時点でこの状態。山札は3枚で10金あり、一方捨札は9枚で7金しかありません。
ここから3ドローして、こう。
手札:+
山札:
捨札:
さらに書庫を打ちます。残り2枚の山札を引いた時点で、こう。
手札:+
山札:(なし)
捨札:
捨札をシャッフルして新たな山札を作り、そこからもう2枚を引くことになります。
手札:+
山札:
捨札:(なし)
この11金で何を買うのかについてはおいといて、問題は次のターンの弱すぎる手札です。
この山札は、先ほど書いた「9枚で7金」の捨て札をシャッフルして作ったものであるため、ここから5枚引いたとしても平均3.89金ほどしか出ない計算となります。さすがに弱すぎですね。
では、地下貯蔵庫を打つ寸前まで時間を戻してみましょう。
手札:
山札:
捨札:
この時点で得られる情報としては、
- ひとつ前のターンと現在で、デッキにあるはずの銀貨や金貨をまだ見ていない。ということはそれらは残りの山札の中にあるはず。
- その残りの山札はあと5枚(ルール上、数えてもよい)。
- 捨て札の中身は、さっき見た5枚と買った銀貨だけ。つまり6枚で6金しか出ない弱いカード。
などがあるでしょう。つまりざっくり言うならば、
- いまの山札はとても強い
- いまの捨て札は弱い
ということです。これが分かっている状況で、地下貯蔵庫でさらに弱いカードを捨て札に加え、それらをシャッフルさせるほどの大量ドローをしてしまうと、上のように弱いカードの山札を作ってしまうことになります。
これを避けるため、ここではシャッフルさせないように、ドロー枚数を調整する必要があります。
具体的には、残り山札5枚をちょうど引くために逆算し、地下貯蔵庫でのチェンジは1枚にとどめるべきです。
やってみましょう。地下貯蔵庫で屋敷1枚を捨てます。
手札:+
山札:
捨札:+
ここから書庫で4ドローすれば、ちょうどぴったり。
手札:+
山札:(なし)
捨札:
めでたしめでたし。
というわけで、冒頭の問題ですが。
手札:
この手札、実は上の例での地下貯蔵庫を打つ直前の状態でした。
状況によってはここから「屋敷1枚を捨てる」が正解になることもある、というお話でした。
逆算ってどうやんの
では地下貯蔵庫と書庫でのドロー枚数の計算方法について、です。
まず書庫ですが、手札が7枚になるまでドローするということは。
- 書庫だけ打つ:3ドロー
- 地下貯蔵庫1枚を打ったあとに打つ書庫:4ドロー
- 地下貯蔵庫2枚を打ったあとに打つ書庫:5ドロー
- 地下貯蔵庫3枚を打ったあとに打つ書庫:6ドロー
- ・・・
というように、その前に地下貯蔵庫を多く打っているほど、その後の書庫のドロー枚数が増えます。
上の例の場合、書庫で4ドローすることになるわけですが、ここでの目的は5ドローですから、地下貯蔵庫では1枚ドローすべきだ、と逆算できます。
見えないカードをどう考える
今回の内容はかなり難しめになったような気がしますが、この「見えないカードの内容を気にしたプレイ」という考え方は地下書庫に限らず、多くの局面で重量な思考となります。
普通にプレイしているとどうしても目に見えるもの=手札のことだけを考えてしまいがちですが、ちょっと考えれば山札や捨て札がいまどんな状態になっているのかもわかります。「何枚で何金」と言った具体的な数値まで割り出さなくても、なんとなくいまここが強いとか弱いといった漠然とした印象だけでもかまいません。
実際、上の例での「5枚で10金」の山札の場合も、まだ金貨も銀貨も見てないぞ→山札にあるはずだ→それらを引けば金金銀で8金以上は確定するはずだ→じゃあぴったり5枚引ける調整しよう、くらいの思考ができれば十分です。