種もみ程度は残してくれる(田中和彦)
2金出し、他のプレイヤーの手札を3枚になるまで捨てさせるアタックである民兵は、推奨サプライの「最初のゲーム」にも含まれていることから、ドミニオンにおいて多くの人が最初に触れるアタックカードとなっています。
このカード、買うべきか。買わざるべきか。
これを判断するためにも、そもそも民兵というカードの役割は何なのか。ここでまとめておきましょう。
自分は5金出し、相手には5金出させない
例えばこういうサプライ。
村がなく、圧縮できないサプライ。呪いへの対応ができないため、魔女をなるべく早く買い、相手より早く・多く打つことが目的となるゲームです。つまり序盤は魔女を買うための5金を出すことが目的に。
初手が5-2でない限り、魔女は2周目にしか買えません。その2周目の5金確率をなるべく上げ、同時に相手の5金確率を下げられるのであればやるべきですが、民兵はその両方の役割を担うカードです。
2周目に民兵を打った時、相手の手札が以下のようなものだったなら。民兵は大きい仕事をしたと言えるでしょう。
手札が少ないと弱いカード
ここで、アクションカードをプレイしたときに、手札枚数がどうなるかということについて考えてみます。
たとえば手札5枚持ったところから改築をプレイした場合。プレイした瞬間は4枚になり、さらに手札1枚を廃棄するため3枚になります。
この手札から、改築で屋敷を廃棄したとき、残りの銅貨3枚で3金の買い物をすることになります。つまりこのターンに得られるものとしては、
- 屋敷という邪魔なカードの排除
- 屋敷を改築して得られるコスト4以下のカードの獲得
- 3金での購入
の3つが存在します。
さて、もしここに民兵を打たれたら。
手札2枚を捨てることで、上の3つの利点のうちいくつかを失うこととなります。
- 改築と銅貨を捨てた場合、1,2,を失う
- 銅貨2枚を捨てた場合、3.を失う
そう、改築は手札を対象とするため、手札を減らされると十分な効果が発揮できません。
これにより、民兵と改築があるサプライを見たときに、「改築があるから民兵を買っておこうかな」とか「民兵のせいで改築は弱くなるから改築を買うのはやめとこうかな」というような、カード同士の相性を踏まえた考えが必要になります。
では、これ以外の「手札が少ないと弱いカード」は何があるでしょうか。
- 地下貯蔵庫
地下貯蔵庫もまた、手札を減らされると弱くなるカードです。
ここから地下貯蔵庫を打てば最大4枚の手札をチェンジできますが、民兵を打たれ、銅貨と屋敷を捨てると2枚しかチェンジできません。実際に2枚を捨て、2枚を引いたところで手札はその2枚だけになってしまい、そこから大きな買い物をすることはあまり期待できないでしょう。
- 金貸し
この2つはどちらも9金を出せる、属州を買うには十分な手札です。
しかしここに民兵を打たれたとしたら。上の手札はそれでも8金出ますが、下は出ません。金貸しよりも銀貨を買っておけばよかったと思える状況になってしまいます。
これは、金貸しというカードが手札の銅貨を対象とするため、これを生かすためには手札に金貸しと銅貨の2枚を確保する必要があり、民兵に対してはあと1枚しか手札の枠がなくなってしまうという欠点があるからです。この例では、金貸しを打つためには金貨を捨てなければならなくなっています。
- 礼拝堂
言うまでもなく、礼拝堂の廃棄の対象となる4枚は、民兵を打たれてしまうと2枚に減ります。圧縮の速度が落ちてしまいますね。
このように、民兵に対して弱くなるカードは共通して「手札に対して何かをする」効果を持っていることがわかります。実際、改築・金貸し・礼拝堂は「手札を廃棄」し、地下貯蔵庫は「手札を捨てる」効果です。
この、民兵に対して弱くなるカードの、つまり相対的に「民兵が強くなる」カードの判定方法は、基本第二版以外の拡張を混ぜて遊ぶ時でも変わりません。ゲーム開始時のプラン立ての際にご利用ください。
手札が少ないと強いカード
逆に、手札が減った方が強くなるカード、つまり民兵に対し強いカードというのも存在します。言わずと知れた、書庫ですね。
ここから書庫を打つと3ドローするだけですが、先に民兵を「打ってもらう」と屋敷を2枚捨て、その後書庫を打った時点の手札は2枚だけになるため、5ドローとなります。普通に打つのに比べ、捨てた屋敷2枚の代わりに2枚多く引けるわけです。そう、まるで地下貯蔵庫で先に2枚チェンジしたかのように。
そのため、書庫があるゲームでは民兵を買うのは避けた方がいい・・と言いたくなりますが、必ずしもそうとは限りません。上に書いたように、同時に民兵は5金を出せなくするカードでもあるため、民兵を打ったことで相手の書庫購入を妨げた、なんてこともあり、なんとも痛し痒しです(※)。