その薄さ、実にカード4枚
たとえば。もしもあなたのデッキが以下のようなものだったとしましょう。
そう、この4枚だけです。当然ここから手札を引けばこの4枚。8金ありますから属州を買いましょう。
次のターンも属州を買い、さらにその次のターンでも8金出れば属州を買い、運悪く5金とか6金しか出なければ鍛冶屋でも買ってみましょうか。
ターン数 | 手札 | 山札 | 購入物 |
1 | (なし) | ||
2 | (なし) | ||
3 | |||
4 | |||
5 |
属州を2枚買った後はデッキが6枚になるため、8金出ない可能性があります。上の例ではここで鍛冶屋を買い、これを打つことでデッキを引き切り、8金を出しています。
よかったら実際にカードを持ち出して、上のように一人プレイをやってみてください。だいたい5~6ターンくらいで属州4枚買うことができます。
あるいは、最初に8金出たときに、ここで属州ではなく鍛冶屋を買ってみましょうか。
ターン数 | 手札 | 山札 | 購入物 |
1 | (なし) | ||
2 | (なし) | ||
3 | |||
4 | |||
5 |
実はこちらの方が安定して、5ターンでの属州4枚購入を実現できます(※)。
というわけで、このように「金金銀礼」の4枚からなるデッキを完成させれば、そのあと5ターンほどで24点が取れることがわかりました。ドミニオンはカードを買うゲームだと思い、買えば買うほどデッキは厚くなっていくわけですが、実は逆に薄くしたデッキの方が強いらしいです。
では、完成形を先に触ったところで、礼拝堂を使ってこのような薄いデッキを作ってみましょう。
初手で礼拝堂を買うこと。銀貨は買わないこと。
たまに他の人のプレイを後ろから眺めていると、礼拝堂と銅貨3枚屋敷1枚という手札から、屋敷だけを廃棄して銀貨を買ったりしている光景を目にしますが、礼拝堂を入れている以上、銅貨を残すのはもったいないんですよね。基本は銅貨と屋敷をすべて廃棄することを目指しましょう。もしサプライに礼拝堂があったら必ず買う、と思ってもらって構いません(※)。
なので初手は3-4でも2-5でも、礼拝堂と何かを買うわけですが、もし2-5スタートで、研究所か衛兵があるならそれで決まりです。
礼拝堂の相方 クラス分け一覧
Aクラス:
Bクラス:
Cクラス:
クラス | カード名 | コスト | 解説 | 礼拝堂が沈む確率 | |
Aクラス | 研究所 | 5 | 礼拝堂を沈ませない、圧縮のペースを上げる、属州を買いだしてからも役立つという、圧縮デッキには最適なお供。 | 1/66 | 1.5% |
衛兵 | 5 | これ自体も2枚まで廃棄できるため、2周目に最大6枚圧縮できる。 | 7/132 |
5.3% |
|
Bクラス | 市場 | 5 | buyが増える分だけ密猟者よりも偉い(本稿では触れないが)。 | 1/11 | 9.1% |
密猟者 | 4 | これ自体が1金を出すため、完成形デッキの財宝カード3枚は金金銀でなく金銀銀でよくなる。 | 1/11 | 9.1% | |
前駆者 | 3 | 第3ターンにプレイした礼拝堂を、第4ターンの前駆者で拾えれば、第5ターンにもまたすぐに礼拝堂がプレイでき、安定する。それ以降はほぼ空気。 | 1/11 | 9.1% | |
商人 | 3 | その後に買う銀貨をプレイしたときにもう1金を出す(商人6枚ルートについては次の記事で触れる)。 | 1/11 | 9.1% | |
Cクラス | 礼拝堂 | 2 | 礼拝堂2枚買い。第3・第4ターンに分かれてくれれば廃棄枚数が増えるが、2枚が被ると逆に減ることに。 | 1/66 | 1.5% |
銀貨 | 3 | 礼拝堂が沈みやすくなり、またこれと礼拝堂が同時に手札に来ると3枚廃棄にせざるを得ない。 | 1/6 | 16.7% |
Bクラス以上を見ると分かるように、礼拝堂の相方として相応しいカードはいわゆるキャントリップ、つまり「+1アクション・+1カード」以上を持つものに限られます。なぜならば…
・手札に礼拝堂と「相方」が同時に来ても、プレイしたときにアクション数も手札枚数も減らさないため、その後に礼拝堂をプレイしたときに4枚廃棄できる。
手札:
山札:
商人をプレイし、銅貨を引いて、銅貨2枚と屋敷2枚を廃棄できる。
・礼拝堂がシャッフル後のデッキの上から11枚目に位置した場合でも、相方が上から10枚までにあれば、それを第3または第4ターンにプレイすることで第4ターンに礼拝堂をプレイできる。
手札:
山札:
商人をプレイし、銅貨を引けば、次のターンに礼拝堂が手札に入る。
という利点があるためです。
初手:礼拝堂-前駆者
では実際にデッキを圧縮する手順を見てみましょう。ここでは相方に前駆者を採用し、礼拝堂が沈まなかった場合の例を。
ターン | 行動 | デッキ内容 |
1 | 前駆者購入 | ×7 ×3 |
2 | 礼拝堂購入 | ×7 ×3 |
3 |
銅貨3枚屋敷1枚廃棄 購入なし |
×4 ×2 |
4 |
前駆者で 礼拝堂を拾い、 銀貨購入 |
×4 ×2 |
5 |
銅貨2枚屋敷2枚廃棄 購入なし |
|
6 | 銀貨購入 | |
7 | 金貨購入 | |
8 |
銅貨1枚銀貨1枚廃棄 購入なし |
|
9 | 金貨購入 | |
10 |
銅貨廃棄 属州購入 |
|
11 | 属州購入 | |
12 | 属州購入 |
この例では第8ターンに銅貨と銀貨を廃棄していますが、シャッフルの結果によっては銅貨2枚廃棄してもかまいません。いずれにせよ金金銀の8金だけで属州を買うルートの場合、2枚目の銀貨は廃棄した方が安定するので、2枚ある銀貨のうち一方は廃棄してもいいでしょう。
なお、このときの手札は「銅銀銀金礼」であり、8金出ているにも関わらず銅貨と銀貨を廃棄して、まだ残りのカードで5金出せるのに何も買わないというターンになります。もったいないと思うかもしれませんが、圧縮できるときにしない方がもったいない結果となります。
そうして、第10ターンで最後の銅貨を廃棄したところで、残りは金金銀礼(と、実質的に邪魔にならない前駆者)だけになり、この記事の最初に書いた通りのデッキが完成します。あとは属州を買える限り買い続けましょう。
ただし、第11ターンで2枚目の属州を買った後、デッキに財宝カードでないカードが3枚混じることになります(礼拝堂・属州・属州)。第12ターンで手札5枚を引いたとき、この3枚すべてが手札に入ると8金は出ず、これ以降は8金が確定しなくなります。これを避けるために、鍛冶屋や書庫などのドローカードを入れるという手もあります(※)。このときのドローカードとしては、礼拝堂をスキップできるという点で鍛冶屋よりも書庫の方がいいでしょう。
初手:礼拝堂-礼拝堂
では最後に、Cランクではあるもののうまく回れば早い、礼拝堂2枚入れデッキの「うまく回った」例を。
ターン | 行動 | デッキ内容 |
1 | 礼拝堂購入 | ×7 ×3 |
2 | 礼拝堂購入 | ×7 ×3 ×2 |
3 |
銅貨3枚・屋敷1枚廃棄 購入なし |
×4 ×2 ×2 |
4 |
銅貨1枚・屋敷2枚廃棄 購入なし |
|
5 |
礼拝堂1枚廃棄 銀貨購入 |
|
6 |
銅貨1枚廃棄 銀貨購入 |
|
7 | 金貨購入 | |
8 |
銅貨1枚・銀貨1枚廃棄 購入なし |
|
9 | 金貨購入 | |
10 | 銅貨廃棄・属州購入 | |
11 | 属州購入 | |
12 | 属州購入 |
第3・4ターンで銅貨4枚屋敷3枚を廃棄できればベスト。このとき銅貨を5枚以上廃棄するとその後に銀貨が買えなくなり、仕方なくまた銅貨を「買い戻す」手数が無駄になるので注意が必要です。実際上の手順では、第4ターンに廃棄枚数を調整しているのがわかるでしょうか。
ある程度の圧縮が終わったら、礼拝堂のうち1枚はもう1枚の礼拝堂で廃棄すれば、あとは上と同じ手順となります。
- デッキは薄いほど濃くなる
なぜ礼拝堂で銅貨と屋敷を廃棄し、デッキを薄くするだけで強くなるのかと言えば、買った金貨が毎ターン手札に来るようになるから、なんですよね。
総枚数が100枚のデッキに金貨1枚を追加しても強さはほとんど変わりませんが、4枚のデッキに追加すれば毎ターン使えるため、目に見えて強くなります。そう、枚数が少ないデッキほど1枚のカードを使う回数が増えるため、「強いカードの割合が濃いデッキ」が作れるわけです。
というわけで、荒く言うならば、デッキは総枚数が少なければ少ないほど、「厚さが薄く、濃度が濃い」ほどいい、と覚えてしまいましょう。そのためにはできるだけ早く、効率よく廃棄をすることです。そして礼拝堂は、それに最も適したカードです。